営業活動をする上で、一般的に売上を上げるためには新規顧客の開拓が行われます。しかしながら新規顧客の開拓は容易なことではなく、それだけに頼っていてはビジネスが行き詰まってしまいます。

そこで、固定客をつかむことで継続的に売上を立てようとする考え方がマーケティングの戦略上ポピュラーになってきたようです。 かつて「狩猟型マーケティング」だったのに対し、昨今では「養殖型マーケティング」とされています。

そうした中で、既存顧客に対して行う営業の手法として、「アップセル」が重視されているのです。

アップセルとは?

アップセルは、「より高いものを買ってもらうこと」です。例えば、製品のバージョンアップ時や買い替え時などに、よりグレードの高い製品やコースを薦めたり、同時に購入する数量を多くしてもらうことで、アップセルを達成することができます。

ダウンセルとは?

アップセルに対して「ダウンセル」という手法があります。
ダウンセルとは、商談中の一つの製品に対して、「とにかく買っていただくことを最優先」として、販売単価を下げてでも受注したい事情がある場合に使われます。主な事情として、
・競合企業があり、その企業に受注をさせたくない
・自社製品に競争力がなくなってしまった
・次回付加価値のある製品が販売されるまで利益が少なくなってもつなぎとめておきたい
・顧客と他の取引で大きな売り上げがあるので関係維持の「捨てごま」の商品として
などが挙げられます。
このようにダウンセルは、自社にとって戦略的に攻撃または防衛をしなければならない時に選択される手段だと言えます。

アップセルの目的

顧客あたりの売上単価の向上

アップセルを達成できると、顧客数を増やすことなく総売上額を増やせます。アップセルによって利益率の高い商品へと誘導できたならば、効率良く利益を向上させられます。

生涯顧客単価(LTV)の向上と業務の効率化

新規顧客を獲得するのはコストが高くなりがちです。そのため、既存の顧客あたりの売上単価を上げることは、効率の良い売上向上策となります。
また、市場が縮小傾向にあり、かつ新興企業が乱立する現在の日本では、顧客一人ひとりと継続的な関係を保つ必要があります。そのためには、アップセルを積み重ねて顧客一人あたりの生涯顧客価値(LTV)を最大化しないと、現在の日本企業は生き残れないという現状があります。

アップセルのメリット・デメリット

メリット:効率的な顧客単価向上

アップセルにより売上単価を向上できれば、効率的な顧客単価の向上が可能となります。
新規での顧客獲得コストは既存顧客維持にかかるコストの5倍と言われます。顧客単価を向上させるには、新規に顧客を獲得するよりも既存顧客に対しアップセルを行う方が、より効率的な方法であると言えます。

デメリット:顧客のロイヤリティの低下を招く可能性

アップセルは効果的な営業手法ですが、ただやみくもに仕掛ければいいというわけではありません。ニーズのないところにいくらお勧めしても、効果は期待できません。
そのように興味のない顧客に一方的なお勧めをすることで、顧客のロイヤリティを破壊してしまうリスクがあります。さらに、その結果として、低い評価やクレームがWEB上に残ってしまう可能性もあるということを認識しておく必要があります。

アップセルを成功させるには?

① ロイヤリティの高い既存顧客をターゲットとして抽出する

アップセルを成功させるには、分析による対象顧客の絞り込みができていることが前提になります。ロイヤリティの高い既存顧客=アップセル成功率の高い顧客を抽出するためにどんなことを留意すればよいのでしょうか。

ロイヤリティの高い既存顧客の選別には CRM が必須

顧客を選別する際、顧客情報の収集量・分析力が、アップセルの成功率を左右します。
顧客情報を収集・分析するには CRM を利用するのが効果的です。そして、成功率の高い顧客選別を行うには、その CRMに一定レベル以上の機能があることが必要です。
また、顧客のロイヤリティを分析する上で、顧客対応状況のわかる SFA(営業支援システム)機能のある CRM ソフトであれば理想的です。

ロイヤリティを高めるリードナーチャリングがポイント

アップセルが可能な顧客を増やすには、日頃からのリードナーチャリング(見込み顧客育成)が重要です。リードへの働きかけによって顧客のロイヤリティを高めることで、アップセルの成功率も高まります。
また、効率的にリードナーチャリングを行うためには、MA(マーケティングオートメーション)の活用も有効です。CRM やナーチャリングの質を高め、かつ省力化するためには、適切なビジネスツールを導入し機能させることが重要になってきます。

営業現場への落とし方も重要

せっかく抽出した顧客リストが営業現場で活用されなければ、アップセルにつなげることはできません。営業現場のニーズを反映して、使いやすい形にしてデータを提供することで、データの活用が促進され営業活動がスムーズに進みます。そのためには、データを分析・処理する担当部門と、現場のマネージャー・営業マンの連携が重要になります。

② アップセルの営業施策を現場に浸透させる

施策を企画・推進する本社部門が、「施策を発信して仕事が終わった」という認識でいたら施策は浸透しません。施策の浸透は難しいということを十分に認識した対策が必要になります。

継続的にやることが重要

施策が浸透し成果が出るまで、企画・推進部門は営業現場に対して発信し続けることが重要です。「施策はすぐには浸透しない」ことを前提として、営業現場に伝える続けるのです。

営業現場にアップセルの必要性を理解してもらう

営業現場にアップセル施策を発信する際には、「どうやってアップセルを行うか」ではなく、「なぜやるのか」「どんなメリットがあるのか」を優先して理解させることがポイントです。
目先の売上を求められる営業現場では、数字に直結しないことは後回しにされますし、また従来の営業手法と異なる施策には難色を示す営業マンもいます。しかし施策が成果に結びつくことが理解できれば、営業マンは自主的に販売方法を学ぶようになるはずです。

現場の声を施策に反映させる

会社からの一方的な指示だけでは営業現場は思い通りに動かず、会社も現場の声を聞かなければ、数字以外での現場の実態を把握できません。
最初に発信した施策は改善され続けることを前提として、本社と現場が連携してPDCA を回すことが重要です。顧客の反応や施策の改善点などを営業現場からフィードバックさせ、それを反映させることによって、施策がレベルアップするだけでなく、本社と現場の一体感が生まれ、結果として施策浸透も進みます。
その他にも、営業現場を巻き込むという意味で、提案制度や表彰制度を設けたり、現場での成功事例を収集し社内に発信することにより、施策浸透を図ることができます。

③ 現場の顧客目線の徹底と営業力アップ

アップセルのリスクを認識する

アップセルの対象はロイヤリティの高い優良顧客です。興味のない顧客に一方的にアップセルのお勧めをすることで、優良な顧客を失うリスクがあります。このリスクを避けながらアップセルを図る営業力が、営業現場に必要とされます。

顧客のニーズを正確に把握する

アップセルに必要とされる営業力とは、提案力よりも顧客のニーズを正確に把握する力です。顧客ニーズが分からないまま一方的にアップセルの提案をすることが、営業マンに対する不信感を生みます。逆に、顧客のニーズを把握し、ニーズに沿った提案ができれば顧客のロイヤリティの高めることができます。
収集した顧客情報や目の前にいる顧客の言動と表情を分析し、ニーズを聞き出す話法を駆使しながら、顧客ニーズの把握に集中することが営業力アップのポイントです。

営業力を磨く

新しい販売手法に慣れ実践的な営業力を身に付けることが重要になります。研修への参加や情報の共有化(先輩に教えてもらう、後輩から学ぶ)、営業現場内での取組みにチームとして皆で取り組んでいるという一体感が出るような意識づくりをしてモチベーションを高めることも効果的です。

アップセルを実現する代表的な手段とは?

アップセルを実現するには様々な手段があります。自社の商品や事業特性を考慮して最適な手段を選択することがお勧めです。

代表的な手段の例

  • お試し版を用意する
  • 既存顧客から傾向分析、アテンドをパターン化する
  • 一定数以上の購入で割り引きする
  • おまけを提供する
  • 保証やサポートの延長を提供する
  • 下取り優待の提供する

クロスセルとの併用

顧客単価の向上を図るのに、アップセルとクロスセルの併用が効果的です。アップセルにより「売上単価」を上げ、クロスセルにより「売上数」を増やせば、相乗効果で顧客単価は大幅にアップします。

Zoho CRM ならアップセルに欠かせない SFA 機能やリードナーチャリングなどのMA 機能が満載!

Zoho CRM のリードナーチャリング機能

リードのナーチャリング(育成)機能は、獲得したリードへのアプローチに多いに役立ちます。収集したそれぞれのリードに対して適切なアプローチを自動的に実行し、スムーズかつミスのないナーチャリング活動を実現できます。

Zoho CRM のマーケティングオートメーション機能

メールアプローチへの反応や WEB サイトのアクセス履歴など顧客の行動データを CRM に集約。こうしたデータを基に適切なナーチャリングアプローチを実施します。また、活動の結果を自動で集計し、状況を可視化します。

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