パイプラインとは?

「パイプライン」というと、石油や天然ガスなどを運ぶ配管をイメージされるかもしれませんが、営業やマーケティング分野などでビジネス用語としても使われます。配管のパイプラインが石油や天然ガスを供給元から目的地まで一定のルートで運ぶのと同じように、営業やマーケティングにおける一連の作業プロセスを時系列に沿って実施していく流れをパイプラインに見立てた管理手法です。

営業活動におけるプロセスをパイプラインで管理する場合、見込み客の獲得から受注までの行動をステップに分解し、各ステップでどのように行動すべきかを定義して、これに沿って活動を実施していきます。

例)お問い合わせ → アプローチ → ヒアリング → 商談 → フォロー → 受注

また、各ステップで費やす目安となる時間を設定しておけば、予定が立てやすく、その活動の進捗が順調かどうかも把握しやすくなり、もし遅れているのであれば早めに対処することが可能になります。

日本の慣習であまり行われてこなかったパイプライン管理

パイプラインによる管理はこれまで日本国内の企業ではあまり行われてきませんでした。日本におけるビジネスの慣習では進捗管理よりも顧客との関係性を構築することが重視される傾向が強かったためです。業務活動がスタッフ一人ひとりの考え方や進め方にゆだねられることが多く、それぞれの管理方法や感覚に頼っていました。

しかし、対応するスタッフごとにスキルや成果のバラツキがあることや、チームとしての強みや課題が把握できていないことなどが問題視されるようになってきたことに加え、ITツールなどが充実してきたことを背景に、業務活動を可視化して管理する手法を導入する企業が増えてきています。その手法の一つとして注目されているのがパイプライン管理です。

パイプライン管理の効果は?

パイプライン管理を導入することにより具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。

・課題を把握しやすくなる

例えば、営業の案件を受注・失注など成約ベースで管理する従来の方法では、各案件が失注になったポイントを明確に把握することは難しいです。なぜなら、営業活動の各プロセスにおいて、次に進めることができた割合を示す転換率などのデータがなければ、どこのプロセスが失注のポイントになっているのかが把握できないからです。

パイプライン管理を実施すると各プロセスでの状況が明確になり、失注した場合その理由がどこにあるのかを把握することで、課題の発見をしやすくなります。もし、複数の営業チームが活動していれば、チーム同士の状況を比較することで各チームがどのプロセスで問題を抱えているのかが把握しやすくなり、改善につなげられます。

・強みを発見しやすくなる

商品やサービスを顧客から魅力的に感じてもらうためには、商品やサービス自体に魅力を持たせることはもちろんですが、効果的なタイミングで魅力を存分に伝えることも重要です。

成約ベースで案件管理するのではなくプロセスごとに管理を行うことで、各プロセスでのアプローチ手法における反応の良し悪しを把握できるため、良くなかった手法を改善すれば営業活動全体の効果を高めることにもつながります。

プロセス管理で把握した強みを営業活動で活かしたり、スタッフでノウハウを共有することで、営業力の向上や均一化を図ることができ、社内全体の営業力を高めることが期待できます。

・予測や管理がしやすくなる

パイプライン管理をすることで全ての活動プロセスが可視化され、進捗状況がわかりやすくなることから、活動目標の予測や管理にも役立ちます。

例えば、営業案件を成約ベースで管理する場合、ある程度確度が高まってくるまでは状況が見えにくい、いわゆるブラックボックス化するという問題がありました。また成約に至る確度についても各営業スタッフの感覚に頼らざるを得ないという状況がありました。

パイプライン管理によって案件の状況が可視化され、失注や受注の割合などがデータとして明確に把握できるようになると目標の予測が立てやすくなり、達成が困難だと予測できたらすぐに対応策が取ることができます。また成約までにかかる期間が様々な案件を一緒に管理することで中・長期的な受注見込みも立てやすくなります。

・スタッフの行動管理がしやすくなる

パイプライン管理によって必要な情報をチームで共有することで、スタッフ一人ひとりの行動が明確になり、リアルタイムに近い状態でスタッフの行動を把握できます。

また、作業報告などにかかっていた時間も短縮できます。例えば、営業部門であれば、マネージャーは従来のような成約件数や金額のチェックをはじめ、スタッフから報告を受ける手間や時間が省けます。スタッフにとっても日報の記入など報告のために時間をかける必要がなくなります。

ただし、あまりに管理を細かくしすぎるとチェックする項目が増えてしまい、かえってチェックのための手間や時間がかかるため、パイプラインで管理する行動をどこまで細分化するかは検討する必要があります。

パイプライン管理を実践するには?

パイプライン管理を実施するためには、どんな手順を踏めばいいでしょうか。ここでは、営業におけるパイプライン管理を実践する際に必要な3つのステップを紹介します。

1.プロセスを細分化する

先に挙げた例のように、お問い合わせから受注までのプロセスを細かく分けていきます。その際、顧客の行動を軸に考えることがポイントです。ただし、プロセスの細分化しすぎると、些細な点にとらわれてしまい、本質的な課題を見つけにくくなってしまう恐れがあります。

プロセスのどの部分に課題があるのかを把握しやすくするために、客観的で正確な全体像がとらえられる程度で細分化を行います。

2.プロセスを進める行動プランを明確にする

細分化した各プロセスを進めるための行動プランを明確にします。それにより、スタッフは迷うことなく次のステップまでの行動を実行に移すことができ、営業活動の生産性を高められます。

例えば、問い合わせがあった顧客にアポイントをとる際に、スムーズに話を進めるために事前に電話かメールで先方の担当者にヒアリングをしておく、というような行動プランが考えられます。また、提案から見積書を提示するまでのプロセスでは、顧客に導入(購入)後のイメージをしてもらいやすくするためにデモンストレーションなどを行う、といった行動プランも考えられます。

こうした行動プランを考える際は、スタッフが効率的に動けるように、数字や顧客の行動なども具体的に決めておくことがポイントです。

3.各プロセスの目標数値を可視化する

細分化した各プロセスの目標数値を可視化します。例えば、営業のパイプライン管理における目標数値としては、件数と転換率があります。

例)

プロセス目標実績評価
問い合わせ100件/月 110件/月
転換率 90% 転換率 91%アップ
ヒアリング 90件/月 100件/月
89% 90%アップ
提案80件/月 90件/月
63% 61%ダウン
商談 50件/月 55件/月
40% 40%変わらず
フォロー 20件/月 25件/月
25% 32%アップ
受注 5件/月 8件/月


このように、細分化した各プロセスとその転換率を可視化します。そして実際に実践する中で、件数と転換率を可視化しデータとして蓄積していくことで、ボトルネックとなっているプロセスを発見しやすくなります。この例で見ると、提案プロセスから商談プロセスへの転換率が下がっていますので、提案活動をする際になんらかの課題があると予想され、その分析と改善をすることで提案プロセスの質を向上させます。

パイプライン管理はマーケティング活動でも有効

これまで、パイプライン管理は営業活動の一連のプロセスにおいて実施されるのが一般的でした。しかし近年では、MA(マーケティングオートメーション)が普及したことで、マーケティング活動においてパイプライン管理を実施することが増えてきました。

そこで一般的には、営業活動におけるパイプラインは「セールスパイプライン」、マーケティング活動におけるパイプラインは「マーケティングパイプライン」と呼んで区別されます。

セールスパイプラインはこれまで触れてきたような営業活動におけるパイプライン管理で、マーケティングにより創出された見込み客への、最初のアプローチから受注に至るまでのプロセスが相当します。

マーケティングパイプラインにおけるプロセスは、いわゆる「デマンドジェネレーション」になります。

デマンドジェネレーションとは、営業部門へ渡す見込み案件の創出する活動全般のことを指すもので、「リードジェネレーション(見込み客獲得)」「リードナーチャリング(見込み客育成)」「リードクオリフィケーション(見込み客絞り込み)」の3つのプロセスから成り立っています。特に購買プロセスが長期に渡るような案件を扱うBtoBマーケティングにおいては重要なプロセスです。

マーケティングパイプラインで創出した見込み客をセールスパイプラインに渡し、セールスパイプラインで失注した見込み客を、再度マーケティングパイプラインでフォローする、そうした相互的な流れで、プロセスを回していくのが効果的です。

リードジェネレーションを進化させたパイプラインマーケティングとは

マーケティングにおいてのパイプラインはデマンドジェネレーションの一連の流れを指しますが、「パイプラインマーケティング」は、リードジェネレーションをさらに進化させた施策のことを指します。

ビジネスにおいて一番注力するべきなのは収益の向上です。しかし、なかなか広告を出さないでサイトに訪問してもらうのは難しいものです。マーケティングにおいては、リードの獲得数にこだわってリード獲得単価(直接CV)だけに注力してしまうと、本来の目的である収益機会を逃す恐れがあります。

そうした損失を回避するためには、見込み客獲得のためのマーケティング施策を最適化していくことが求められます。パイプラインマーケティングでは、見込み客が認知してから購買に至るプロセスを広い視野で把握し、収益を創出するまでのプロセスから遡り、見込み客を獲得するためのあらゆるマーケティング施策を最適化します。

直接CVとは?

CVはコンバージョンのことで、インターネット広告を経由して自社サイト上で獲得できる最終的な成果のことです。最終的な成果はサイトによって異なりますが、具体的には、自社の商品・サービスが購入されることやサービスへの会員登録、商品・サービスに関する問い合わせなどが該当します。
直接CVは、自社サイトを訪問したユーザーが「商品購入」「資料ダウンロード」といったアクションを、サイトを離脱することなくそのまま行うCVを指します。直接コンバージョンに至るユーザーは、自社の商品・サービスに対する関心度が高いと言え、比較的短い検討サイクルでのクロージングが期待できます。
直接CVに対して間接CVは、一度サイトを来訪したもののその場ではコンバージョンに至らず、その後再び来訪した際にコンバージョンが発生することを指します。

パイプラインマーケティングを効率的に実施するためには「アトリビューション」が欠かせません。アトリビューション手法を用いて、正しく施策の効果を理解し、どの施策に費用を投資すべきかを判断できれば、マーケティングの効率化と収益の向上が見込めます。

アトリビューションとは?

売上やコンバージョンにつながるあらゆるマーケティングの接点に貢献度を割り当て、実際にどの接点が売上につながったのかを特定する方法です。これにより、マーケティング予算を適切に配分し、より効果的な接点に多くの予算を投入できるようになります。
アトリビューション手法をリードジェネレーションにあてはめた場合、貢献度を測る各施策となるのは、リスティング広告やSNS広告などです。アトリビューションを用いることで、直接CVだけではなく間接CVも考慮して、広告の評価を行えるようになります。
例えば、直接CVがリスティング広告だったとしても、顧客が前段階でSNS広告をクリックしていれば、SNS広告は間接的にCVへの貢献をしてくれていることがわかります。アトリビューションを活用すれば、顧客がこれまでに触れた施策とその貢献度を把握でき、最終的な収益の計測が可能になります。


BtoBマーケティングは、顧客が商品やサービスを認知し、受注に至るまでの期間が長いのが特長です。そのため、顧客が認知から購買に至るまでに行われる施策が多くなることが想定されます。その中で、正しく各施策の効果や貢献度を把握できるパイプラインマーケティングは、BtoBマーケティングに向いている手法と言えます。

効率的にパイプライン管理を行うには?

パイプライン管理を行うには、細分化した各プロセスの進捗をリアルタイムかつ正確に把握する必要があります。これまで多くの企業では顧客リストの管理をエクセルなどのスプレッドシートで行ってきました。しかし、スプレッドシートではデータ共有をリアルタイムで行うのは難しく、ボトルネックになる部分を把握しにくい、そうした理由から効率的な管理は難しいと考えられます。

そこで、ITツールを利用すると以下のようなことが可能になるため、パイプライン管理を効率的に行うことができます。

  • 各スタッフがリアルタイム入力できる
  • 全スタッフがリアルタイムに情報共有できる
  • ダッシュボードの活用により課題が明確化される

パイプライン管理の手順を理解した上でITツールを活用すれば、より効率的な営業やマーケティング活動が可能になります。基本的には、セールスパイプラインはSFA(営業支援)、マーケティングパイプラインはMA(マーケティング・オートメーション)でカバーできますが、顧客管理を行うCRMと連携させるとさらに効果的です。最近のCRMはSFAとMAの機能を備えたものもあります。

とは言え、あくまでITツールは手段の一つです。重要なポイントは営業やマーケティング活動の可視化と継続的に改善を行っていくことで、スタッフやチームの能力アップや組織体制の改善にもつなげることができます。

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